古流かたばみ会のいけばな

 古流かたばみ会のいけばなは、二百年余りの間伝承されてきた生花と、生花様式以外の自由花(現代華などを含む)の二つの様式があります。これらの二つの様式は、おのおの、成立した年代も形態も大きく異なるものです。しかし「花をいける」という行為に関する限り、この二つの様式に大きな違いはありません。
 人が花を美しいと感じ、これをいけ上げるとき、そこに喜びとか悲しみといったなんらかの感情を託すこともありますし、純粋に、装飾や造形を目的とすることもあるでしょう。また時代による流行や制約もあります。しかし、様式のいかんにかかわらず、そこに込められるそれぞれの感情や思想は、いけばなの本質としてなんら矛盾するものではないのです。生花も自由花もともに過去の形式ではなく、現代に息づいている“いけばな”なのです。

生花とは

生花の発生

 生花(せいか)は江戸時代中期に成立したいけばなの様式です。いけばな以前の花としては、古くは神前に供える供花(くげ)や鑑賞のための挿し花がありました。また室町時代中ごろには、仏に供える花から出発した立華(りっか)という形式が興ります。江戸文化の爛熟期になると、立華や茶の湯と結びついて興った抛入花(なげいればな)などが互いに作用し合って生花が生まれました。この新しい様式は広く普及し、いけばなの中心的な様式となっていきます。形態的には立華が立てる花であるのに対し、斜めに挿し入れるいけばなであるということ、そして線的な美しさが求められていることが大きな特色といえましょう。

生花の構成

〜天・地・人と古流の花型〜

 生花は三本の枝を骨組みにして構成され、この三本の枝には天(てん)・地(ち)・人(じん)の意味が与えられています。天は宇宙の中軸であり「導くもの」、地は天に対して「従うもの」、人は生あるものすべての象徴として、天地両者を「和するもの」、と説かれています。古流では天を真(しん)、地を受(うけ)、人を流(ながし)と呼び、この三幹線(三才・さんさい)によって構成される花体は不安定な不等辺三角形にまとめられます。斜め前方に弧を描いて中央に立ち伸びる真を中心に、左右に振り出される流と受は、長さ、角度など、けっして同一には挿さず、植物の強弱や質感、色彩などによりバランスを保ち、さらに融合した美しさを表現しようとするのです。このような不安定な中の危うい均衡を基調とした花型が、生花の基本形態となっています。

自由花とは

 生花(格花)以外のいけばなを自由花と呼びます。自由花は大きく分けると、盛花(もりばな)、瓶花(へいか)、現代華(げんだいか)の三つに分類されます。

●盛花

 盛花は主に平面的な水盤や皿にいけられます。盛花の中でも特に花材の出生を重んじた情景花は、自然観や風物観などを折り込んだいけ方がなされます。ですから花材には人工的な手をあまり加えずに、木ものは木ものらしく、草ものは草ものらしく扱います。

●瓶花

 瓶花は最も古い時代から発達してきた挿花の形式です。壺や細口の花瓶が用いられ、また投げ入れとも呼ばれるように、花留めなどを極力用いずにいけられます。盛花同様に自然本来の姿を生かしながらも、自然描写にとどまらず、より自由な気風をたいせつにした挿花といえましょう。

●現代華

 現代華は素材を自然描写的に扱わずに、色彩や造形を重視して、作者の主観にもとづいていけられたものをいいます。花や枝のどのような状態に魅力を感じたかに主眼がおかれた現代華は、極論すると、何一つ制約のないいけばなといえるでしょう。その中で作者が素材を自由に使いこなして自分の主張を表現するいけばなの様式ともいえます。